日本の残留農薬の基準が他国に比べて緩すぎるというのは本当?

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日本の残留農薬は、世界各国の基準に比べると緩すぎるという指摘があります。その理由について調べました。合わせて、気になる残留農薬の実態、健康への影響、残留農薬とのつきあい方についてもまとめました。

健康志向の高まりとともに、食の安全性に興味を持つ人が増え、農薬使用について不安を抱く人も増えています。特に、野菜や果物の残留農薬は、そのまま口に入りやすく、深刻な健康被害を引き起こすのではないかと心配になる人も多いでしょう。このような不安を払拭するためには、日本で使われる農薬の基準について正しく理解することが必要です。あわせて、残留農薬とかしこく付き合う工夫についても紹介します。

残留農薬とは

農薬が果たしている役割を理解しよう

スーパーや八百屋さんに行くと、新鮮な野菜や果物がたくさん並んでいます。これらの農作物は、畑で栽培されているあいだに、何度も農薬を散布が繰り返され、その後、店頭に並び、私たち消費者の元へ届けられているのです。

農薬は、農作物を害虫や病気から守るために使われています。また、雑草を防いだり、作物の発育を促成させたりすることで、生産性を向上させるためにも役に立っています。農薬がなければ、深刻な食糧不足が発生するとも言われています。

農作物が消費者の元に届くときにも農薬は残っている

農作物を生産するときに使われる農薬は、農作物が食品として私たちの口に入るときにも、食品に残っていることがあります。これを残留農薬と言います。これが私たちの体内に摂取されると、健康に被害を及ぼすのではないかと、心配になることがあります。

なぜ残留農薬の基準値は国ごとに違うのでしょうか

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一日摂取許容量が定められている

農作物の栽培に使われる農薬の種類や使用量については、厚生労働省で基準が定められています。また、出荷時に残留農薬が食品にどのくらい存在しているかについても、同様に個々の基準があります。これらは、一日摂取許容量(ADI)として、毎日一生涯にわたって摂取し続けても、健康への悪影響がないと推定されているものが定められています。

環境が変われば、基準も変わる

日本だけでなく、世界各国でも、その国で独自の一日摂取許容量(ADI)が決められています。農作物によっては、外国に比べて、日本の方が基準が厳しいものとそうでないものがあります。これは、国によって、気候風土や害虫の種類などの違いにより、農薬の使用方法なども変わってくるからです。

たとえば、北米やヨーロッパに比べて、日本は温暖湿潤な気候なので、どうしても農作物の害虫や病気が発生する割合が高くなります。また、雑草が繁殖しやすい環境でもあります。ですから、日本では、より多くの農薬が必須であり、残留農薬の基準も緩くなっているという現状があるのです。

実際の基準の違いを比較してみると

農林水産省のウェブサイトを見ると、世界各国の残留農薬の基準と日本の基準を比較することができます。かなり専門的で、細かく記載されていますが、全体を見渡すだけで、ひとつの作物を作るために、こんなにも多くの農薬が使われているのかと驚くことでしょう。

また、全体的に見ると、日本の方が厳しいもの、緩いものがあり、偏っているわけではないであることに気づきます。しかし、EUの基準に注目すると、日本に比べて、かなり厳しくなっているというのが目立ちます。

参考:諸外国における残留農薬基準値に関する情報(農林水産省)
http://www.maff.go.jp/j/export/e_shoumei/zannou_kisei.html

さらに、厚生労働省のウェブサイトには、日本の基準値が外国の基準値よりも高い(緩い)ものの例としては、ぶどうやマンゴーなどが挙げられています。その理由として、高温多湿の気候により、高濃度の農薬使用が使用されていることと、収穫時期に近い時期まで農薬使用が可能となっているためという説明があります。

参考:食品中の残留農薬等 よくある質問(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/zanryu/faq.html

残留農薬が人体に及ぼす影響は

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散布された農薬は収穫時にそのまま残るわけではない

現在、日本で使用が認められている農薬は、作物に散布しても、時間とともに分解・飛散して、なるべく収穫時に残らないように設計されています。したがって、正しい使い方をすれば、毒性は極めて低いと確認されているものです。

健康被害が現れることも

農薬は化学物質ですので、体内に入ると健康被害を引き起こす可能性もあります。特に、化学物質過敏症などの体質の人は、アレルギー症状が出やすいと言われています。具体的な例として、頭痛、めまい、吐き気、手足のしびれ、視力低下、食欲不振、注意力低下などの症状が見られる場合もあります。また、体の小さい乳幼児や、妊婦さんは、健康な成人に比べて、影響が出やすい傾向もあります。

残留農薬とのかしこい付き合い方

必要以上に敏感にならない

このように、日本で使われている農薬は、適切に使えば、安全性が認められているものですので、残留農薬についても、敏感になりすぎる必要はありません。しかし、日常生活で身近に存在する農薬について、正しい理解をしておくことは大切です。

たとえば、私たちが口にする農作物は、どこで、どのように作られているかに興味を持つことにより、いろいろな情報が入ってくるようになります。そうすれば、きちんと安全性が保証され、信頼できるものであるかを確認する習慣も身につきます。

信頼できる農作物を選ぶ

また、無農薬や減農薬の農作物、有機農法で作られた農作物を積極的に利用することは、残留農薬を避けるために有効です。しかし、経済的な負担が大きくなるので、日常の食生活ですべてを取り入れるのは、むずかしいこともあります。

輸入作物や季節外れの農作物を避け、地元で作られた旬の農作物を積極的に利用して、地産地消を心がけることや、お店に並ぶ農作物の見栄えにこだわりすぎないようにすることも、結果的には、農薬使用の削減につながります。

家庭で残留農薬を除去する

農薬の大部分は、水に溶けやすい性質があるので、水でよく洗えば、農薬は除去できます。皮ごと食べるものはスポンジでこすり洗いをすると効果的です。また、外側の葉を取り除いたり、皮をむいたり、下ゆでをしたりすれば、さらに安心ですね。皮をむけないものや、生でそのまま食べるものも、たっぷりの流水で洗うように心がけましょう。

まとめ

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残留農薬というと、危険な化学物質が使われているとか、人体に有害であるというイメージが強くなってしまいがちです。特に、インターネット上では、マイナス面を強調し不安を煽るような情報も目に付きます。しかし、正しい知識を身につけていれば、必要以上に恐れる必要はありません、自分なりの価値基準を持ち、かしこく残留農薬と関わっていく姿勢を身につけていきたいものです。

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