「あと一口食べたらやめよう」と思っても、ついつい食べ物に手が伸びてしまうことってありますよね。それは自分の意志が弱いからではなく、満腹感を感じる神経をしっかり刺激できていないからかもしれません。
暇だからと言ってスマホを操作しながらご飯を食べたり、あまり噛まず早々に飲みこんだりしてはいませんか?こうした食事の際の習慣が、思わぬ食べ過ぎを誘発してしまうのです。
満腹感を感じるには、実はただ量を食べればいいというわけではなく、食べる時間や食卓の質などによって大きく左右されます。
そこで今回はダイエットの大敵・食べ過ぎを手軽に防ぐ12個のコツをご紹介します。
満腹になるってどんな仕組み?
食事を摂ると血糖値が上昇し、脳の視床下部にある「満腹中枢」が刺激されます。するとその刺激を感じ取った満腹中枢が脳に刺激を伝え、お腹がいっぱいになるという仕組みです。
しかし血糖値が上がるのは、食べ始めてから約20分後。満腹中枢が刺激される前に必要以上に食べてしまうと、不要なエネルギーを摂ってしまうことになってしまいます。そのため早食いの人は太りやすいと言われているのです。
満腹中枢を刺激して腹八分を目指す
①食事前に一杯のお茶や炭酸水を
小腹が空いた時や食前には、温かいお茶や白湯を飲むのがおススメです。温かい飲み物で内臓を温めることで、自然と食欲を抑えることができますし、特に白湯は血液の巡りを良くし、利尿作用をうながします。ただカフェインが入っているコーヒーや紅茶は、胃が空っぽの時に飲むと胃を痛めてしまうことがあるので注意しましょう。
また炭酸水を飲むのもOK。炭酸で胃が膨らみ、食べ過ぎを抑えてくれます。炭酸ジュースは糖分がたっぷり入っているので控えましょう。もし炭酸水が苦手な方はレモン汁を数滴たらして飲むといいでしょう。
②食べる順番を意識!食事の時はまず野菜から
お腹が空いていると、まず主食やお肉などのメインディッシュから食べたくなりますが、まずはスープを飲んだり野菜を先に食べるようにしましょう。実は食べる順番を意識するだけで、同じものを食べても太りにくくなるのです。
スープはお腹にたまりやすいので、早食いを防ぎます。また野菜に多く含まれる食物繊維を先に摂ることで、のちに炭水化物やたんぱく質を摂っても急激な血糖値の上昇を抑えることができます。
血糖値が急に上がれば上がるほど、膵臓から血糖値を下げるインシュリンが大量に分泌され、ブドウ糖を脂肪に変えてしまいます。急激な血糖値の上昇はダイエットには大敵なので、食べる順番は意識しましょう。
③1口食べたら20回は噛む
先ほど満腹の仕組みでもお話ししたように、血糖値は食事を摂ってすぐに上がるものではなく、約20分ほどかかります。そのためよく噛んで食べることで、食事の時間がかかり、大量に食べなくても脳が満腹を感じるのです。
食事を始めた直後はお腹が空いて、少しでも早く胃にご飯を入れたいかもしれません。そのため噛む回数もそこそこに飲みこんでしまいがちです。食べ物を一気に食べると、胃の吸収力が盛んになり、体脂肪をため込んでしまいます。こうならないためにも空腹感を我慢しすぎないことも大切です。
④小さめの食器に盛り付ける
食器を見直すだけでも、適正な食事量を見直すきっかけになります。同じ量の食事でも脳の錯覚で、大きな食器だと少なく見え、小さな食器だと多く見えるのです。
以前行われた調査によると、人は小さい食器より大きい食器の方に量を多く盛り付けてしまう傾向にあることが分かっています。食器を小さくするだけで食べる量が少なくなりますし、同じ量でも脳が満足感を感じるのでぜひ試してみてください。
⑤ながら食いをしない
スマホを操作しながらご飯を食べたり、テレビを見ながらお菓子をつまんだりしていませんか?この「ながら食べ」は、行儀が悪いだけでなく、実は太りやすくなるためダイエットの大敵といわれているのです。
その理由は意識が食べ物に集中できず、味を楽しめなくなって満足度が下がったり、どれくらいの量を食べたかが把握できなかったりするから。食べ過ぎにつながりますし、噛む回数が減って食事のペースが上がってしまうのです。
今やスマホやテレビは欠かせないものとなっていますが、マナーが悪いですしせめて食事の時だけは控えるようにしましょう。そして家族や友人と楽しく食卓を囲んで、食事の満足度と満腹感をゲットしてくださいね。
⑥食後はすぐに歯磨き!気分も口の中もさっぱり
歯磨き粉にはミントをはじめ、磨いた後に口の中を爽やかにする様々な成分が含まれていますが、この爽やかな香りが食欲を減退させる効果があります。
歯を磨くと「また磨くのは面倒だな」という気持ちになりますし、食べたとしても食べ物や飲み物が変な味しますよね。食後はなるべく早いうちに、また間食したくなったら歯を磨くのもいいですね。
どうしても甘いものが恋しいというときは、子供用の甘いフレーバーの歯磨き粉を使うという手もあるのでぜひ試してみてくださいね。
食べる量より質!食材選びにもひと工夫
食事中の注意だけでなく食材が持つそれぞれの質をしっかり見極めることで、より高いダイエット効果を発揮します。
⑦魚や豆など低脂肪なたんぱく質を摂って満腹に
食べるとすぐお腹を満たしてくれる食材というと炭水化物を思い浮かべる人が多いと思いますが、たんぱく質も同様です。しかもたんぱく質は体を動かすエネルギー源になるので、摂取したcalの30%近くはエネルギーとして消費され、脂肪になりにくいとされています。
しかし、たんぱく質はお肉や乳製品など高カロリーなものも多いです。そこでおススメなのが、魚や大豆製品。青魚に多く含まれているDHAやEPAには中性脂肪を下げる働きがありますし、大豆製品は食物繊維がたっぷりなので腸内環境を整えてくれる、ダイエットの心強い味方なのです。
⑧野菜・果物ジュースは控える
スーパーやコンビニの陳列棚には、紙パック1本で一日分の野菜が摂れる製品や、100%フルーツジュースをはじめ、野菜や果物の成分が入った飲み物があり、気軽にフルーツの風味を楽しめます。
しかしそこは是非生の野菜や果物を食べるようにしてください。生の野菜や果物には、食物繊維やビタミン群がたっぷり入っています。ジュースを製造する過程で、特に熱に弱いビタミンCは壊れてしまいますし、便秘を改善する効果のある不溶性食物繊維は水分に溶けにくいのでジュースにはほとんど含まれていません。
水溶性食物繊維ばかり摂ると下痢などの症状がでる恐れもあるので、ぜひ生の野菜や果物を食べるようにしてくださいね。
間食したくなったら
ダイエット中とはいっても、どうしても甘いものが食べたくて仕方がない時がありますよね。そんなときは何を選べばいいのか、食べても大丈夫な時間はいつかといったことをお話しします。
⑨間食しても大丈夫な食べ物を選ぶ
洋菓子より和菓子
スーパーで置いてあるお菓子は和菓子より洋菓子が多いですよね。お菓子を選ぶ機会は、和菓子より洋菓子の方が多いのではないでしょうか。
しかし和菓子は洋菓子より食べても太りにくいおやつと言われています。和菓子は食物繊維がたっぷりな餡子や寒天をよく使ううえ、バターや生クリームといった油脂を使わないので、洋菓子よりもずっとカロリーを抑えることができるのです。また1個あたりのサイズも小さいのも食べ過ぎを防ぐポイントになりますね。
スナックよりチョコレート
ダイエット中のスナック菓子は脂分が注目されがちですが、合成甘味料にも注意が必要です。
この甘味料はカロリーが低く、少量でも強い甘味を感じるものとして以前はダイエットに良いと考えられていましたが、実は脳が糖分を感知する機能をマヒさせる麻薬のようなもの。
少しだけ甘いものを食べたいと思って、油で揚げたスナック菓子や砂糖がたくさんかかったスイーツを食べ、手が止まらずに間食やお代わりをしてしまうなんてことありませんか?甘味料の中でも人工甘味料は、糖分依存症を引き起こしやすくするので、いくらカロリーゼロとうたった商品でも選ばないのがベターなのです。
おススメなのが、カカオ分70%以上あるチョコレート。少量食べるだけで満足感が得られますし、カカオに含まれるポリフェノールには代謝を上げる効果もあると言われているのです。
ただし、だからと言って食べ過ぎはカロリーオーバーになるのでもちろんNG。一気に食べてしまわないで、「小腹がすいたら何粒分」などと自分でルールを決めて食べるようにしましょう。
⑩間食にベストな時間は午後3時
1日のうち、体が脂肪をため込む働きが最も弱くなるのが午後3時と言われています。また午後3時前後はまだ日中の活動中でカロリーを消費しやすい時間帯ですし、一般的な食生活リズムでは、午後3時は昼食と夕食の真ん中にあたる血糖値が下がっている時間なので、この時間を狙ってオヤツを食べると血糖値が高い状態がキープされず、また体に吸収されにくくなるのです。
反対に体に吸収されやすい時間帯は、午後10時から深夜2時。仕事や家事が終わってほっと一息できる時間帯ですが、この時間はぐっと間食をこらえましょう。どうしても口さみしくなったら、海藻系のお菓子などヘルシーなものを選んで食べるようにしましょう。
主食はやっぱり和食が一番
ダイエット中は食べ過ぎが気になる主食の炭水化物ですが、和食に気に変えることでダイエットの心強い味方になります。
⑪パンやパスタと、お米はどう違う?
実はパンやお米のカロリーにはあまり差がありません。例えば8枚切りの食パン2枚と、ご飯のお茶碗普通一杯分はいずれも約250キロカロリーです。カロリーだけ見ると、気分や好みで好きに食べていいのではと思ってしまいがちですが、ご飯には腹持ちの良さや血糖値の急激な上昇を抑えるなどのメリットがあります。
ご飯はパンやパスタと比べ、消化するのに時間がかかります。パンやパスタの腹持ちがよくない理由は、主原料である小麦粉が粉状で消化吸収されやすいものだからです。消化が早いとお腹が減るのも早まり、間食してしまう傾向にあります。
一方でご飯は、パンやパスタよりも噛む回数が多いので満腹感を感じやすく、おにぎり一個でも約2時間腹持ちするといわれています。この消化吸収の差は血糖値の上昇下降にも影響しており、パンやパスタは急激に血糖値が上がりますが、ご飯は上昇も下降も緩やか。こうした点からできるだけご飯を食べた方がダイエットには良いといわれているのです。
⑫玄米や雑穀米を取り入れるのも手
ご飯におススメなのが、玄米や雑穀米です。カロリーは白米とそう変わりませんが、白米より歯ごたえがあり自然と噛む回数が増えるため、満腹感を得やすくなるのです。
また玄米と雑穀米いずれにも、食物繊維やビタミン、カルシウムなどが白米よりはるかに多く含まれていて、偏りがちな栄養素を補ってくれるというメリットもあるのです。玄米や雑穀米を食べることによって、ダイエットをはじめ便秘の解消や美肌効果、強い骨を作ることにもつながります。
まとめ
これまで食べ過ぎを防ぐコツをご紹介してきましたがいかがでしたか。
ダイエットを意識すると、ハードな運動やきつい食事制限で短期間に結果を求めてしまいがちですが、ちょっとしたことを意識しつづけることで、体の中からきれいになってスリムな体に近づくことができます。
ダイエットはもともと痩せるだけではなく、健康な体を作るという意味があります。腹八分の食事量でも十分満足できるようになりますし、生活習慣病の予防にもつながるのでぜひ試してみてくださいね。